主なポイント
- 多くの企業は、適切なインフラやガバナンスを整えないまま自律型AIエージェントを導入した結果、「Agentic Chaos(エージェント・カオス:AIエージェントを適切に管理できていない状態」に陥り、大きな財務リスクを抱えています。
- 自律型AIエージェントを企業の基幹データや業務アプリケーションにつなぐ共通基盤がないため、信頼性の不足とAIエージェントの乱立が解消されていません。
- AI活用で継続的な成果を生み出すには、AIエージェントを安全かつ適切に管理するための一元的なガバナンス基盤(Control Plane:AIエージェントの運用・管理を統合的に制御する仕組み)が必要です。
自律型AIエージェントは、もはや概念上の存在ではなく、業務上の必須要件になりつつあります。企業が実験段階から本番導入へ移り、先行優位を得るためにAI活用を急ぐ中、導入スピードと企業全体の適切なガバナンスを両立することが大きな運用課題として浮上しています。このギャップにより、企業は部門やシステムごとに孤立した状態で自律型AIエージェントを運用せざるを得なくなり、基幹データや業務フローと十分につなげられずに本来期待される価値を発揮できていません。
こうした統制不足は、単なる技術的な課題ではありません。Boomiの委託によりForrester Consultingが実施した詳細調査「The AgenticAI Gap(エージェンティックAIの準備におけるギャップ)」が示すとおり、AIエージェントのPoCを本番環境での運用へ拡大する企業の経営層にとって、重大な財務リスクです。
AI導入をめぐる7つのトレンド
Forresterは、「Agentic Chaos」状態にある企業では、約210万米ドル(約3億4,000万円)の追加コストが発生すると指摘しています。必要なインフラを整える前に全社展開を急ぐと、AIエージェントによる誤った処理や判断により、業務停止、顧客離れ、重大なコンプライアンス上の制裁を招くおそれがあります。
変化の激しい環境で混乱を避け、適切な統制へ移行する方法を明らかにするため、Forresterは現在のAI導入を特徴づける変化を分析し、業界を形づくる7つのトレンドを示しています。
1. 信頼性が低いままPoCを超えて本番運用へ
調査対象企業のリーダーの86%は、AIエージェントのPoCをすでに終えています。内訳は、58%がPoCから本番運用へ移行中、28%が本番運用を開始済みです。一方、AIエージェントが行う処理や判断を信頼しているリーダーはわずか34%にとどまりました。AIエージェントへの信頼を高めるには、正確でガバナンスが確立されたデータとAIエージェントを確実に連携させる必要があります。
2. AIエージェントの乱立が新たな課題に
企業ではAIエージェントが急増し、1社で最大200のエージェントを導入している例も報告されています。乱立の主な要因は、AIエージェントを企業システムにつなぐことが難しく、実際の業務を実行できない点にあります。この乱立を防ぐには、AIエージェントと企業アプリケーションを一元的につなぐ共通基盤が必要です。乱立を確実に抑えるには、AIエージェントと全社のソフトウェアとの間の隔たりを埋める一元的なプラットフォームを整備する必要があります。
3. 準備不足での本番導入が大きな財務リスクに
十分な準備が整わないままAIエージェントを本番導入すると、大きな財務負担が生じる可能性があります。運用体制が整っていない「Agentic Chaos」の状態では、コンプライアンス違反による制裁、顧客離れ、業務停止により、数百万ドル規模の追加コストが頻繁に発生するケースもあります。それでも、ROIの早期実現を求めるプレッシャーから、意思決定者の77%が本格導入へ進んでいます。こうしたリスクを抑えるためには、まずシステム連携の基盤を整備し、適切なガバナンスとアーキテクチャのもとでAIエージェントを運用できる環境を構築してから段階的に拡大することが重要です。
4. AI導入の重点は、LLMの性能向上からデータ連携とAPI管理へ
「AIエージェントを企業全体で安全かつ統制された状態で運用できている」企業は、LLMの判断性能を高めることだけに注力せず、適切に運用・統制された信頼性の高いAPIを通じて、AIエージェントをデータ、アプリケーション、ツールにつなぐことを優先しています。Forresterによると、こうした先進企業の45%は、信頼できるAPIが整っていなければ、AIエージェントのPoCすら開始しません。AIエージェントに実務上の処理を実行させるには、高度なAPI管理機能が不可欠です。
5. API管理はAIガバナンスの基盤へと進化
従来のAPI管理は、AIガバナンス全体を支える統合的な管理基盤へと役割を広げています。このような一元的なガバナンス基盤は、連携の安全性を確保し、エンタープライズレベルのAI活用に必要な監査証跡を提供します。運用準備が整った企業は、MCP(Model Context Protocol:AIエージェントが外部システムやデータと標準化された方法で接続するための共通プロトコル)を一元的に統制し、AIエージェントの接続を安全かつ標準化された形で管理することを重視しています。
6. iPaaSが中核インフラに
AIエージェントを統制できている企業では、AIエージェントを活用したワークフローの支援と連携制御に、iPaaS(Integration Platform as a Service:クラウド上でシステムやデータを連携・統合するためのサービス)を中核基盤として採用しています。iPaaSによる連携とオーケストレーションは、AIエージェントを統制できる企業とできない企業を分ける重要な技術的要素となっています。
7. AI活用が進んでいる企業ほど、ROIも高い
AI導入に必要な準備を整え、運用体制を確立した企業では、AI活用の成熟度が高まるにつれて、明確なビジネス成果が生まれています。調査では、先進企業の59%が生産性の大幅な向上を、51%がイノベーションの増加を報告していることが分かっています。AIエージェントを単に導入するだけでは十分ではありません。データ連携やガバナンスを含めた運用基盤を整備することが、AI投資の成果を最大化する鍵となります。
AI活用を成功へ導くために
AIエージェントを企業全体で安全かつ効果的に活用するには、複数のAIエージェントを一元的に管理・ガバナンスできる共通基盤が必要です。Boomi Enterprise Platformは、オンプレミスとクラウドにまたがるアプリケーション、データ、API、AIエージェントをつなぎ、AIを本番運用するための準備不足を解消します。さらに、AIエージェントを安全に連携し、信頼性を確保し、ROI創出につなげるためのオーケストレーション層とガバナンスを提供します。こうした基盤を整えることで、AIエージェントを企業全体で安全かつ統制された状態で運用できている状態を実現し、AIの真のビジネス価値を最大限に引き出せます。
詳しくは「The Agentic AI Readiness Gap」をご覧ください。Agentic Chaosから、適切に管理・運用された状態へ移行するためのポイントや推奨事項を紹介しています。