ERP連携とは?代表的な導入方法とユースケースをわかりやすく解説

著者 Boomi
発行日 2023年4月11日
Image showing applications to integrate, ERP, CRM, etc.

情報を探している時間は、その情報を活用して行動する時間ではありません。
ERP(企業資源計画)システムは、営業、財務、人事、調達など、企業のあらゆる業務から大量のデータを収集し、1か所に集約します。これにより、必要な情報を見つけやすくなり、データに基づいた適切な意思決定が可能になります。

しかし実際には、ERPへのデータの流入や、ERPから他のシステムへのデータ連携が、手間と時間のかかる作業になっているケースも少なくありません。その結果、重要な業務データが、特定の業務システムの中に埋もれてしまい、日常的にそのシステムを使っている担当者以外には見えない状態になることがあります。これがいわゆる「データサイロ」であり、業務の生産性を大きく損なう要因となります。

ERP連携を行うことで、業務アプリケーション間の手作業によるデータ受け渡しをなくし、情報の分断を解消できます。
本記事では、
・ERP連携とは何か
・なぜ必要なのか
・どのようにERPを重要な業務アプリケーションと連携させるのか
についてわかりやすく解説します。

ERP連携とは

ERP連携とは、企業が利用している複数の業務アプリケーションとERPシステムをつなぐ仕組みのことです。業務アプリケーションがERPと連携されることで、関連する業務データが自動的にERPに取り込まれ、同時にERPのデータも他の業務アプリケーションへ共有されます。これにより、利用できる情報の幅が広がり、企業の財務状況や業務状況を、より網羅的かつ立体的に把握できるようになります。

ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)とは

ERPシステムは、企業が大量のデータや業務活動を収集・保存・追跡・分析するために利用するプラットフォームです。
ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業全体から集まる情報を集約する中核として機能し、企業における信頼できる唯一の情報源(Single Source of Truth)と位置付けられることが一般的です。

ERPシステムは、以下の領域をカバーします。
・財務・会計
・人事計画であるHRP(Human Resource Planning。人材配置や要員計画を管理する仕組み)
・ビジネスインテリジェンスであるBI(Business Intelligence。蓄積したデータを分析し、経営の意思決定に役立てること)
・顧客関係管理であるCRM(Customer Relationship Management。顧客情報や関係性を管理する仕組み)
・サプライチェーン管理であるSCM(Supply Chain Management。調達から物流までを管理する仕組み)
・資材所要量計画であるMRP(Materials Requirements Planning。製造に必要な資材を計画する仕組み)
など、企業活動の幅広い領域に関わります。ERPは社内業務だけでなく、顧客や取引先といった社外の関係者にも影響を及ぼす存在であるため、ERPに格納されるデータは常に正確かつ完全である必要があります。そのためには、ERPシステムと他の業務アプリケーションとの間で、継続的かつリアルタイムな連携を維持することが重要になります。

ERP連携の5つのメリット

業務データが特定のシステムごとに管理されている場合、情報は分断され、いわゆるデータサイロ(必要な情報が一部のシステムや担当者に閉じてしまう状態)が発生します。その結果、二重作業、不完全または不正確な情報に基づく意思決定、部門間の連携機会の損失といった多くのリスクが生じます。業務効率を下げる大きな要因の一つです。

ERPが他の業務アプリケーションと連携されることで、データは企業内のすべての関係者、そして他のすべてのアプリケーションからも利用可能になります。ERP連携がもたらす効果は多岐にわたります。ここでは代表的な5つのメリットを紹介します。

1. リアルタイムなデータ共有

ERP連携により、あるシステムに入力されたデータは、ERPと連携している他のシステムにもリアルタイムで反映されます。これにより、手作業でのデータ入力が減り、人的ミスによる不正確な情報の発生も抑えられます。ERPだけでなく、業務アプリケーション全体でデータが同期されることで、情報の正確性に対する信頼性が高まります。その結果、迅速かつ信頼性の高いデータ分析析が可能となり、より適切なビジネス判断につながります。

2. 業務フローの自動化

ERP連携は、データを共有するためだけの仕組みではありません。人の手を介さずに、データをそのまま業務アクションにつなげられる点が大きな特長です。たとえば、ヘルプデスクのチケット管理や契約ライフサイクル管理(契約の作成から更新・終了までを管理する仕組み)では、レコード更新をトリガー(特定の条件をきっかけに処理を自動実行する仕組み)として、次の処理を自動的に実行できます。これにより、ワークフローを前に進める役割を人が担う必要はなくなります。より付加価値の高い業務に集中できる環境が整います。

3. 顧客情報を一元的に把握可能

顧客対応や営業活動を部門横断で一貫させるためには、業務システム同士の連携が欠かせません。ERP連携によって、顧客に関する情報は、営業プロセスのどの段階にあっても一つのプロファイルにひも付けて管理されます。その結果、営業担当者や製品開発担当者、さらにはマーケティングオートメーション(マーケティング施策を自動化する仕組み)を利用するシステムまで、個々の顧客を正確に把握できるようになります。個別の顧客理解にとどまらず、市場全体の傾向を読み解くための重要な手がかりにもなります。

4. コスト削減

ERPシステムの導入や既存ソフトウェアとの連携には、初期投資が必要となる場合があります。ただし、長期的な視点で見れば、コスト削減効果は決して小さくありません。繰り返し作業の自動化、手作業によるミスの削減、リソース配分の最適化。こうした取り組みを積み重ねることで、ERP連携は業務運用コストの低減に貢献します。効率化による効果が、継続的に積み上がる点が特長です。

5. 拡張性

ERP連携は、必要に応じて機能を追加・カスタマイズできるモジュール構造をを前提としています。そのため、新たな市場への進出や製品ラインの追加、組織体制の変更といった変化にも柔軟に対応できます。
事業の成長や環境の変化に合わせてシステムを拡張できることは、ERPを長期的なデータ基盤として活用するうえで欠かせない要素です。将来を見据えたIT投資としても有効といえます。

ERPの主要モジュールとは

ERPシステムは、企業内のさまざまな業務領域をカバーする複数の主要モジュール(機能ごとに分けられた業務システムの構成単位)で構成されるのが一般的です。具体的な構成は、ERP製品や企業の業務内容によって異なりますが、多くのERPに共通して含まれる代表的なモジュールは次のとおりです。

財務・会計:企業の財務取引を管理します。総勘定元帳、買掛金・売掛金管理、固定資産管理、予算管理、財務レポーティングなどが主な対象です。企業の経営状況を把握するための基盤となる領域です。

人事:従業員管理に関わる業務を扱います。給与計算、福利厚生管理、勤怠管理、採用、評価、研修といった機能が含まれます。人材に関する情報を一元的に把握するための中核です。

サプライチェーン管理(SCM):S仕入先から顧客に至るまでのモノやサービスの流れを最適化することに重点を置きます。在庫管理、調達管理、受注管理、需要予測、仕入先管理、物流管理などが対象です。供給と需要のバランスを保つうえで重要な役割を担います。

製造:生産プロセスの計画、スケジューリング、進捗管理を支援します。生産計画、製造現場の管理、作業指示管理、部品表であるBOM(Bill of Materials。製品を構成する部品や材料の一覧)、工程管理、品質管理、製品ライフサイクル管理であるPLM(Product Lifecycle Management。製品の企画から廃止までを管理する仕組み)などが含まれます。

営業・顧客関係管理(CRM):顧客とのやり取りや営業活動、マーケティング施策の管理を担います。リード管理、商談管理、売上予測、顧客プロファイル管理、受注管理、カスタマーサポートなどが対象です。顧客との関係を長期的に築くための基盤といえます。

在庫管理:複数拠点にまたがる在庫状況を可視化し、適切に管理するための機能を提供します。在庫追跡、補充管理、倉庫管理、バーコード管理、在庫評価などが含まれます。過剰在庫や欠品を防ぐための重要な領域です。

プロジェクト管理:プロジェクトの計画、実行、進捗管理を支援します。プロジェクト計画、リソース配分、タスク管理、工数管理、予算管理、関係者間のコラボレーションなどが主な機能です。複数のプロジェクトを同時に進める企業にとって欠かせない要素となります。

ERP連携の主なユースケース

ERP連携は、企業内のさまざまな業務領域におけるプロセス改善に役立ちます。
ここでは、ERPを業務全体にしっかり組み込むことで、短期間でも効果を実感しやすい実践的なユースケースを紹介します。

ECプラットフォームとのERP連携

ECプラットフォームでは、購入までにかかった時間、人気商品、平均購入金額など、多くの顧客データが日々蓄積されます。これらのデータは、四半期ごとの売上予測だけでなく、幅広い業務判断に活用できる情報です。企業のECプラットフォームとERPを連携することで、受注から出荷までのプロセスを自動化しやすくなります。在庫管理システムの更新もスムーズになり、ECプラットフォームへの全社的なアクセス権を付与しなくても、顧客分析データを企業全体で活用できるようになります。

プロジェクト管理ツールとのERP連携

多くのERPには、標準機能としてプロジェクト管理機能が備わっています。ただし、ERPはプロジェクト管理専用に設計されたツールではないため、専用ツールと比べると機能が限定的な場合もあります。
プロジェクト管理ツールとERPを連携することで、現場が必要とする機能性を確保しながら、データの分断を防ぐことが可能です。業務データを別システムに分散させることなく、必要な機能だけを柔軟に活用できる点が特長といえます。

BIツールとのERP連携

BIツールには、企業活動の実態を把握するための多くの情報が含まれています。しかし、こうした情報は従来、システムごとに分断され、リアルタイムでの把握が難しいケースも少なくありませんでした。ERPとBIツールを連携し、データを企業全体で活用できる状態にすることで、業務プロセスや傾向を横断的に把握できるようになります。その結果、さまざまなビジネス課題に対して、新たな気づきが生まれやすくなります。

APIを活用したERP連携

API(Application Programming Interface。システム同士がデータや機能をやり取りするための仕組み)を活用したERP連携では、既存のレガシーシステムともシームレスにつなぐことが可能です。APIを通じてERPの機能を拡張することで、業務全体でデータを活用しやすくなります。整理された状態を保ちながら事業を拡大できるため、ERPへの投資効果を最大化する手段としても有効です。

ERP連携の実現方法

ERP連携の実現方法は、すべての企業で同じというわけではありません。
ビジネス上の要件や法規制への対応、社内の人材やスキルなど、さまざまな条件によって異なります。

一般的に、ERP連携には次の3つの実装方法があります。

1. 個別連携(1対1のシステム連携)

個別連携とは、ERPと特定の1つのアプリケーションを直接つなぐ連携方法です。
対象となるアプリケーションに、あらかじめ用意された連携モジュールがある場合、比較的シンプルに実装できるケースもあります。
一方で、事業の拡大に伴って連携対象のシステムが増えてくると、管理や運用の負担が大きくなりがちです。
連携の数が増えるほど、保守や変更対応に手間がかかりやすくなる点には注意が必要です。

2. ESB(エンタープライズ・サービス・バス)

ESB(Enterprise Service Bus)を用いた連携では、企業内の複数のシステムを共通のルールで接続します。ESBは社内で構築・管理されるケースが多く、企業ごとの要件に合わせて柔軟にカスタマイズできる点が特長です。
ただし、連携の保守や更新も自社で担う必要があり、新しい連携を追加した際に、既存の連携へ影響が及ぶ可能性もあります。

3. iPaaS(Integration Platform as a Service)

iPaaS(クラウド上で提供される連携基盤)を活用したERP連携は、スピードと柔軟性を両立できる方法です。
多くのiPaaSには、さまざまなアプリケーション向けの連携用コネクターがあらかじめ用意されています。
そのため、個別連携の手軽さを保ちながら、ESBのように複数のアプリケーションと連携できる点が特長です。
また、サービスとして提供される仕組みのため、社内での保守・運用は不要です。
新しいアプリケーションが登場した場合でも、対応するコネクターが継続的に追加されるため、将来の変化にも対応しやすい選択肢といえます。

BoomiによるERP連携

Boomiは、 iPaaSという市場カテゴリーを切り拓いた先駆者であり、現在もその進化をリードし続けています。私たちの使命は、業務に活かせる連携と自動化を通じて、企業が最適なビジネス成果を実現できるよう支援することです。その第一歩となるのが、ERPを、企業全体の業務と確実に連携させることです。ここから、部門やシステムを横断したデータ活用が始まります。

データからより大きな価値を引き出すためのERPの進化については、eBook「変化する時代におけるERPの進化」で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

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