複数のAPIゲートウェイを管理する方法

著者 Boomi
発行日 2025年3月25日

APIは、ソフトウェア同士をつなぐ架け橋のような存在です。クラウド、パートナー企業との連携、各種デバイスなど、異なるサービス間でデータや機能を共有できるようにしてます。柔軟なシステム構築を目指す企業にとって、自社のツールを外部サービスやAI、IoT、モバイルアプリと連携させるために、APIは欠かせない存在となっています。

しかし、APIの数が増えるほど管理は難しくなります。全体を統括する仕組みがないと、どこで何が起きているか把握できない「無秩序な状態」に陥ってしまいます。こうした状況は、セキュリティの脆弱性や不安定なパフォーマンス、コストの増大、さらに同じようなAPIを何度も作ってしまうといった、開発リソースの無駄遣いにつながってしまいます。

このブログでは、複数のAPIゲートウェイをの管理方法と、複雑なAPI環境の整え方を解説します。

複数のAPIゲートウェイが必要な理由

APIゲートウェイは、もともとルーティング(通信の交通整理)やセキュリティといったシンプルな役割を担っていました。しかし、企業の成長や環境の変化に伴い、今ではパフォーマンスの最適化や、GDPRやCCPAといった法規制への対応、様々なエコシステムの管理など、より複雑な役割が求められています。こうした高度なニーズに応えるため、現在、多くの企業が複数のゲートウェイを併用するスタイルを取り入れています。その具体的なメリットをご紹介します。

  • ベンダーロックインの回避:複数のAPIゲートウェイを組み合わせることで、特定のプロバイダーに依存するリスクを抑えられます。一つのプラットフォームに縛られることなく、新しい技術への移行やベンダーの切り替えを柔軟に行えるようになります。
  • 多様な技術要件への対応:システムや部門ごとに、求められる技術要件は異なります。複数のゲートウェイを使い分けることで、どのような構成であってもシステム全体をスムーズに連携させ、パフォーマンスを最大限に引き出すことができます。
  • ゲートウェイ同士の競合を防ぐ:サービスごとに、最適なルーティングやセキュリティ設定は異なります。用途に合わせてゲートウェイを使い分けることで、設定の食い違いや処理の停滞(ボトルネック)を防ぐことができます。
  • マイクロサービスの性能を最適化:システムを細かく分けて運用する「マイクロサービス」環境では、サービス単位での細かな制御と拡張が欠かせません。複数のゲートウェイを配置することで、負荷分散を最適化し、変化し続けるビジネスニーズにも素早く対応できるようになります。
  • 高度なルーティングの実現:特定の通信管理に特化したゲートウェイを利用することで、通信遅延(レイテンシ)の改善や、地域ごとの法規制への適合、独自の認証ルールの適用などが容易になります。

複数のAPIゲートウェイの運用で生じる課題

複数のAPIゲートウェイを導入することで、業務効率化を実現できる一方で、新たな課題も生じます。優先順位や活用シーンを明確にしないまま進めてしまうと、かえってリソースを浪費してしまうリスクがあるのです。
特によく直面する課題として以下の点が挙げられます。

  • パフォーマンスのばらつき:ゲートウェイごとに設定やハードウェア性能、処理方法が異なるため、応答速度に差が出てしまうことがあります。これがユーザー体験の低下を招くだけでなく、システム全体のパフォーマンスを最適化を妨げることがあります。
  • 認証管理の複雑化:ゲートウェイによって、APIキー、トークン、OAuthなど、採用している認証・認可の方法が異なる場合があります。すべてのプラットフォームで一貫したセキュリティ基準を保とうとすると、開発チームやセキュリティ担当の負担が大幅に増えてしまいます。
  • 複雑な統合プロセス:APIが分散していると、それぞれに異なる統合パターンやワークフローが必要になります。開発チームは、複数のゲートウェイプラットフォームごとに異なるツールやプロトコル、設定ルールを使い分けなければならず、開発時間やメンテナンス工数が増えてしまいます。

複数のAPIゲートウェイを管理するための8つのステップ

APIゲートウェイの管理をマイクロサービス環境で行う際は、明確な戦略を立てておくことが重要になります。既存のシステムとスムーズに連携し、高度な監視・セキュリティ機能を備え、マイクロサービスの強みである「柔軟な連携(疎結合)」を実現できるソリューションを選らぶことで、スムーズな管理体制を構築することができます。
ここでは、APIゲートウェイ運用のベストプラクティスをご紹介します。

1. 小さく始める

最初から仕組みを複雑にしすぎないことが重要です。まずは今のニーズに合った、拡張性を持ったシンプルなAPIゲートウェイの構築からスタートしましょう。長や変化に合わせて、段階的にゲートウェイの環境を拡張していくのが、最も確実でリスクの少ない方法です。

2. 設定管理の一元化

Infrastructure as Code(IaC:インフラの構成をコードで管理・自動化する手法)を活用して、異なる環境にある複数のゲートウェイ設定を一元管理しましょう。設定をコード化して自動でデプロイ・更新できるようにすることで、一貫性が保たれ、手作業によるミスを減らすことができます。また、設定を変更した履歴の追跡が可能になり、標準化された信頼性の高いゲートウェイ運用を実現できます。

3. ガバナンスの自動化フレームワークを構築する

セキュリティやコンプライアンス、パフォーマンスの基準を自動で適用するために、Policy as Code(組織のルールや規約をコードとして定義し、自動的に適用・検証する手法))を取り入れましょう。ルールをコードで定義することで、複数のゲートウェイに対して一貫したルールを適用でき、人的なミスを最小限に抑えながらコンプライアンスを確保できます。

4. 明確なルーティングとトラフィック管理ルールの策定

パフォーマンス、地理的な条件、サービスの稼働状況などに応じてリクエストを賢く振り分ける「インテリジェント・ルーティング」の仕組みを整えましょう。最も効率的で安定しているゲートウェイ」へ通信を繋ぐことで、応答時間の短縮と信頼性の高いシステム(高可用性)を実現できます。

5. 信頼性の高い認証・アクセス制御システムの構築

複数のゲートウェイが混在していても、セキュリティの基準がバラバラにならないよう「ID管理の一元化」を行い、統一されたセキュリティポリシーを適用しましょう。認証やアクセス制御のルールを標準化することで、なりすましなどの不正アクセスを未然に防ぎ、システム全体で機密データを保護できるようになります。

6. 明確なドキュメントの作成

ゲートウェイの設定や接続状況、更新履歴を、構成図やライブドキュメント(常に最新の状態に更新されるドキュメント)として記録しておきましょう。詳細なドキュメントがあれば、チーム全員がアーキテクチャを正しく理解することができ、トラブル時の原因究明もスムーズになります。また、社内の透明性が高まることで、チーム間の連携もより円滑に進みます。

7. トラブルに備えた仕組みづくり

一部のシステムに問題が起きてもAPIのサービスが止まらないよう、冗長化(システムを二重化して予備を確保すること)などの対策を立てておきましょう。バックアップ環境やフェイルオーバー(障害時の自動切り替え機能)、システムの健康状態を確認する「ヘルスチェック」を導入することで、予期せぬトラブル時でもサービスを継続できる体制を整えます。

8. CI/CDパイプラインの活用

APIゲートウェイの更新やテスト、本番環境へのデプロイを、CI/CD(CI/CD:開発したプログラムのテストや本番環境への反映を自動化する仕組み)のパイプラインを使ってプロセスを自動化しましょう。

この手法を取り入れることで、開発スピードが上がるだけでなく、手作業によるミスを抑えることができます。変化にも迅速に対応でき、常に高い品質を保ちながら運用管理の効率化を実現します。

Boomi Enterprise PlatformでAPI管理をよりシンプルに

マイクロサービス環境において、複数のAPIゲートウェイを管理するには、綿密な計画と戦略的な導入が欠かせません。まずは、「スモールスタート」で着実に実績を重ね、「設定の一元管理」で運用のブレをなくし、「ガバナンスの自動化」で守りを固めましょう。このステップを一歩ずつ進めることで、拡張性と安全性を備えたAPIエコシステムを築くことができます。

Boomi API Managementは、APIの設計から統制(ガバナンス)、セキュリティの確保、そして稼働状況の監視と行う、包括的なソリューションを提供します。これらの機能により、ビジネスの柔軟性を高めるだけでなく、強固なセキュリティを実現します。
Boomiが選ばれる主な理由は、以下の通りです。

  • APIの一元管理: 単一の管理画面(コントロールプレーン)から、複数の環境にまたがるAPIを一括で効率よく管理・運用できるようになります。
  • 強固なセキュリティを備えたゲートウェイ:高度な認証・認可の仕組みや暗号化技術により、外部の脅威から大切なデータを守ります。
  • エンドツーエンドの可視化:Boomi プラットフォームが提供する分析・監視機能により、APIのパフォーマンスをリアルタイムで把握。処理の停滞(ボトルネック)が発生しても原因を即座に特定し、運用の最適化を支援します。
  • スケーラビリティ:膨大なデータ処理(トラフィック)や増え続けるAPIのニーズにも柔軟に対応し、常に安定した高いパフォーマンスを維持します。
  • ローコードによる迅速な統合構築:直感的なローコードツールにより、高度な専門知識がなくてもAPIの設定が可能です。限られた開発リソースを最大限に活かし、プロジェクトを加速させます。
  • ダウンタイムのない即時アップデート:サービスを止めることなくAPIを素早くアップデートできるため、最新の機能を、ビジネスを止めることなく提供し続けることができます。
  • 優れたコストパフォーマンス:複数のツールを一つのプラットフォームにまとめることで、個別にゲートウェイを維持・管理するコストを大幅に削減できます。
  • コンプライアンスとガバナンスの徹底:業界基準や法規制への準拠をサポートする統制ツールにより、データの整合性を守ります。

散在しているAPIを整理し、一元管理を実現するBoomiのAPIコントロールプレーンの活用法をぜひご覧ください。

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