コンポーザブルアーキテクチャとは?徹底解説ガイド

発行日  2024年9月11日

ここ5年間、ビジネスのキーワードは「柔軟性」でした。COVID-19は、ほぼすべての業界において世界的な混乱を引き起こし、その後すぐに2022年のロシアによるウクライナ侵攻が続きました。この年は、数十億ドル規模の気象災害にも見舞われた年でもあります。さらに直近では、中東地域の紛争がエネルギー価格やスエズ運河を通じたサプライチェーンの安定性に大きな影響を与えています。こうした背景を踏まえたとき、自社のITインフラはこれらの混乱に柔軟に対応できるだけの体制が整っているのか、今一度見直す必要があります。

企業がより強靭な体制を築くためには、コンポーザブルアーキテクチャに基づいたデジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)の導入が効果的です。

コンポーザブルなフレームワークは、モジュール化とAPIドリブンの統合によって、機敏で柔軟な対応を実現します。業界アナリストであるGartnerは、コンポーザブルなアプローチを採用した企業は、そうでない企業に比べて2025年までに30%多くの収益を上げると予測しています。これは、コンポーザビリティがITシステムにもたらすスピード、俊敏性、柔軟性、そして拡張性によるものです。

コンポーザブルアーキテクチャーとは?

コンポーザブルアーキテクチャとは、ソフトウェア設計の哲学の一つで、機能が明確に定義されたモジュール型の自律的コンポーネントを組み合わせてシステムを構築することを重視するアプローチです。この設計思想では、各コンポーネントが独立して機能し、明確なインターフェースを持つことが前提となっており、それらを「積み木」のように自由に組み合わせることで、柔軟かつ複雑なアプリケーションを構築することが可能になります。

このアプローチは、すべての機能が一体化されたモノリシック(単一構造)アーキテクチャとは対照的で、システムをより小さく、独立したモジュールに分割します。これにより、各コンポーネントは疎結合となり、アップデートや入れ替えが容易になります。コンポーネント間の通信は主にAPIをを通じて行われます。さらに、コンポーザブルアーキテクチャは、以下のMACH原則(Microservices=マイクロサービス、API-first=APIファースト、Cloud-native=クラウドネイティブ、Headless=ヘッドレス)とも整合しており、現代的で柔軟性が高く、スケーラブルなソフトウェアソリューションを実現することができます。

コンポーザブルアーキテクチャーの主な特徴とは?

コンポーザブルアーキテクチャは、そのモジュール性と再利用性によって、まるでレゴブロックのようにアプリケーションを自由に組み立てることができます。独立したコンポーネント同士が柔軟に組み合わさり、ビジネスの変化に合わせて進化・拡張できる点が大きな魅力です。主な特徴は以下のとおりです:

  • モジュール性: システムは独立して動作し、相互に入れ替え可能なコンポーネントによって構成されます。各パーツは単体でも機能し、他の部分に影響を与えることなく、アップグレードや交換が可能です。これにより、メンテナンスや機能拡張が容易になります。
  • 柔軟性:ビジネス要件や市場環境の変化に応じて、簡単に構成を再編成したり新しいコンポーネントを追加したりすることができます。大規模な停止やシステムの再構築を伴わずに適応できるため、変化への対応力が高まります。
  • スケーラビリティ: 各コンポーネントは独立して拡張可能であり、特定の機能に対する負荷が増えた場合でも、他のシステムに影響を与えずにリソースを拡張できます。効率的かつコスト最適な運用が可能です。
  • 再利用性: 一度作成したコンポーネントは、他のアプリケーションやサービスでも再利用可能です。同じ機能を複数のプロジェクトで活用できるため、開発コストや時間を大幅に削減できます。
  • APIドリブン:標準化されたAPIインターフェイスにより、各コンポーネント間でスムーズなデータ連携が可能です。これにより、システム全体の統合性と相互運用性が確保され、異なるサービスやプラットフォームとも容易に連携できます。

コンポーザブルアーキテクチャーの利点とは?

コンポーザブルアーキテクチャ最大の魅力は、コンポーネントが再利用性と再構成の柔軟性にあります。異なるプロジェクト間で同じ部品を活用でき、ビジネスニーズの変化に応じて迅速に再構成できることで、柔軟性・スケーラビリティ・効率性が大きく向上します。市場環境が変化した際にも、新たな技術をスムーズに統合できるため、ビジネスの迅速な適応が可能になります。このアプローチにより、ITインフラのコストを削減しつつ、ベストオブブリードの組み合わせでカスタマイズ性の高いソリューションを構築できます。さらに、以下のような具体的な利点も挙げられます:

  • グローバルな拡張性: 通地域ごとのAPI(為替レート、税制、物流など)を容易に統合でき、多国間ビジネスに対応。
  • 技術革新と市場投入の加速: 新機能の開発・展開を迅速に行えるため、ニーズの変化にすばやく対応し、競争力を維持できます。
  • パートナーの迅速なオンボーディング: B2B企業は、CRM、ERP、請求システムといった主要システムとコンポーザブルAPIを連携させることで、新規の流通パートナーをスムーズに接続できます。
  • 業界特化型のカスタマイズ: スケジューリングツールやリソース管理など、業種ごとの業務に特化したツールを柔軟に連携可能。
  • オムニチャネル体験の実現:複数チャネルにまたがる顧客接点に対応した技術選定が可能になり、一貫したユーザー体験を提供できます。
  • ベンダーロックインの回避: 異なるベンダーの技術を自由に組み合わせて構築できるため、柔軟性と選択肢の自由度が向上します。
  • ダウンタイムリスクの低減: 障害が起きても特定モジュールに限定され、システム全体の停止を回避できます。
  • セキュリティの強化:コンポーネントを分離して管理することで、単一の脆弱性が全体に波及するリスクを軽減できます。
  • 将来への対応力: 新しいテクノロジーや市場の変化にも柔軟に対応できる構造で、IT基盤の長期的な競争力を維持します。

コンポーザブルアーキテクチャーとモノリシックアーキテクチャーの比較

コンポーザブル・アーキテクチャは多くのメリットをもたらす一方で、依然として多くの企業が従来型のモノリシックアーキテクチャに依存しています。モノリシックな設計では、アプリケーション全体がひとつの統合されたコードベースとして構築されており、統合やスケーラビリティに制限があるのが特徴です。一方、コンポーザブル・アーキテクチャはモジュール型の構造を採用し、柔軟性と拡張性に優れています。以下に両者の主な違いになります:

  • コードベースの構造: モノリシックアーキテクチャでは、コードベースは統一されており、アプリケーションのすべてのコンポーネントが密に結合された1つの不可分なユニットとして構築されています。このため、初期導入は比較的容易ですが、システムの規模が大きくなるにつれて管理が困難かつ複雑になりがちです。一方、コンポーザブルアーキテクチャでは、システムは独立かつ交換可能なモジュールで構成されます。このモジュール構造により、柔軟性の高い設計が可能になります。
  • スケーラビリティ: モノリシックなコードベースは一体化されているため、システムの一部だけをスケールアップしたい場合でも全体の拡張が必要となります。これはリソースの無駄遣いやオーバープロビジョニングにつながる恐れがあります。コンポーザブルアーキテクチャであれば、必要なコンポーネントのみを個別にスケーリングできるため、効率的かつ柔軟な拡張が可能です。
  • メンテナンスとアップデート: モノリシックアプリケーションでは、ある一部を変更するとシステム全体に影響を及ぼす可能性があるため、アップデートには慎重なテストと段階的な導入が求められます。対して、コンポーザブルアーキテクチャは局所的なアップデートが可能です。各コンポーネントを独立して更新できるため、全体の安定性に影響を与えずに改善を進められます。
  • フォールトトレランス: モノリシックシステムでは、1つの部分の障害が全体の停止につながるリスクがあります。これにより、耐障害性が低くなる傾向があります。一方、コンポーザブルな設計では、障害が発生してもそのモジュールだけを切り離して対処できるため、システム全体の稼働を維持しやすくなります。
  • アジリティと柔軟性: 市場の変化や新たなビジネスニーズに対応するため、ソフトウェアには継続的な進化が求められます。しかしモノリシック構造では、コンポーネントが密結合しているため変更に時間とコストがかかりやすく、柔軟性に欠けます。コンポーザブルアーキテクチャは、新しい技術の導入や既存機能の調整が容易で、変化に対して迅速に対応できる高いアジリティを備えています。
  • リソースの利用効率: モノリシック構造では、全体でスケーリングする必要があるため、必要以上のリソースが使われてしまうことがあります。これにより、コストが膨らむ原因となります。一方、コンポーザブルアーキテクチャでは、必要な部分だけをオンデマンドで拡張できるため、無駄なく最適なリソース利用が実現できます。

コンポーザブルアーキテクチャを構成する主要コンポーネント

コンポーザブルアーキテクチャとモノリシックアーキテクチャの違いからも明らかなように、柔軟性・スケーラビリティ・保守性において、コンポーザブルなアプローチは多くのメリットをもたらします。こうしたメリットを具体的に理解するためには、その中核を成す主要コンポーネントを押さえておくことが重要です。

  • マイクロサービス: マイクロサービスとは、特定の業務機能に特化した小規模で自律的なサービスのことです。たとえば決済処理、ユーザー認証、在庫管理など、それぞれが独立して機能し他のサービスとは疎結合で連携します。これにより、必要な機能を個別に開発・展開・拡張することが可能になります。
  • ヘッドレスCMS:ヘッドレスCMSは、コンテンツの「作成・管理」と「表示」を切り離して運用できるコンテンツ管理システムです。バックエンドで管理されたコンテンツは、Webサイト、アプリ、デジタルサイネージなど、さまざまなチャネルにAPI経由で柔軟に配信できます。これにより、複数チャネルにまたがるオムニチャネル体験が実現できます。
  • API管理: コンポーザブルアーキテクチャにおける3つ目の重要な要素がAPI管理です。API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)管理とは、APIの設計、公開、運用、分析に関するツールや手法を指します。APIは、コンポーザブル・アーキテクチャにおいてコンポーネントやサービス間のシームレスな連携と統合を実現するために不可欠です。
  • クラウドサービス:クラウドサービスは、コンポーザブルアーキテクチャに必要なスケーラブルでオンデマンドな計算リソースを提供します。IaaS(インフラ)、PaaS(プラットフォーム)、SaaS(ソフトウェア)といった各種サービスは、必要に応じて迅速に導入・拡張することができます。
  • パッケージ化されたビジネス機能(PBC):PPBCとは、ある特定の業務ニーズに対応するために事前に構築された再利用可能な業務コンポーネントのことです。たとえばCRM(顧客管理)、ECサイト機能、サプライチェーン管理などが該当します。各PBCは、複数のマイクロサービス、API、ユーザーインターフェースをひとまとめにしたもので、必要な業務機能を迅速に導入・統合できます。

6 Stages of Implementing Composable Architecture

コンポーザブルアーキテクチャを導入する際には、計画的かつ段階的なアプローチを取ることが、スムーズかつ効果的な移行の鍵となります。以下に、導入時に押さえておきたい主要ステップとベストプラクティスをご紹介します:

1. 現在のアーキテクチャとニーズの評価

まず最初に行うべきは、自社の既存システムを包括的に分析することです。ボトルネックや非効率な部分、柔軟性を高めることで恩恵が得られる領域を特定しましょう。特にアップデートが困難な機能、スケーリングに時間がかかる構成、他システムとの統合が難しい部分に注目しましょう。

2. モジュール化する主要コンポーネントの特定

一部の業務機能は比較的容易に独立したサービスとして切り出すことができますが、そうでない機能も存在します。そのため、アプリケーション全体をより小さく、管理しやすいコンポーネントに分割し、影響度の高い領域に優先的に取り組むことが重要です。なお、コンポーザブルアーキテクチャは初期導入のハードルが高く、コストもかかる可能性があるため、最も効果を発揮できる箇所から着手することが成功の鍵となります。

3. 適切なテクノロジーの選定

テクノロジーの選定においては、コンポーザビリティと整合性のあるものを選ぶことが極めて重要です。まずは、コンテンツを表示形式から独立して管理できるヘッドレスCMSを導入することで、柔軟性の高いコンテンツ運用を実現しましょう。次に、小規模かつ自律的なサービスの開発を支援するマイクロサービス・フレームワークを選定することが推奨されます。さらに、クラウドプラットフォームを活用することで、スケーラブルなコンピューティングリソースの確保することができます。最後に、各種システム間でのデータフローと通信をシームレスに連携するためには、PaaS(データ連携のプラットフォームサービス)の導入が不可欠です。

4. API戦略の策定

APIは、コンポーザブルアーキテクチャにおける各コンポーネント間をつなぐ橋渡しの役割を果たします。そのため、すべてのコンポーネントに対して一貫性があり、十分にドキュメント化されたAPIを設計することが不可欠です。全体的なAPI戦略を構築することで、ドキュメントの正確性と信頼性を維持でき、新しいコンポーネントの接続もスムーズに行えるようになります。

5. 段階的な導入

コンポーザビリティは、従来のモノリシックなアーキテクチャとは大きく異なる考え方です。そのため、いきなり全面導入するのではなく、試験導入から開始することが重要です。まずは小規模で管理しやすいコンポーネントから取り組むことで、コンポーザブルアーキテクチャの実践的な知見を蓄積し、課題や問題点を洗い出すことができます。これらの試験的な取り組みを通じて、運用プロセスや戦略の精度を高めた上で、段階的にスケールアップしていくことが望まれます。

6. 継続的な評価と最適化

最後に、組織はコンポーザブルアーキテクチャのパフォーマンスを定期的に評価し、改善の余地がある領域を見つけ出すことが重要です。運用中の各コンポーネントや全体の仕組みに対して、指標(KPI)やユーザーからのフィードバックを活用し、システムの効率性と有効性を常に維持しながら、最適化や調整に関する意思決定を行いましょう。

課題と考慮すべき点

コンポーザブルアーキテクチャの導入を検討する際には、あらかじめ直面しうる課題を把握しておくことが重要です。以下は、想定される主な課題とそれに対する留意点です:

  • システム設計の複雑化:複数の独立したコンポーネントを管理することは、モノリシックのシステムよりも難易度が高くなります。各モジュールを個別に保守・更新する必要があり、放置されるモジュールを防ぐための堅牢な管理戦略が求められます。
  • 高度なAPI管理の必要性:一貫性・セキュリティ・パフォーマンスを備えたAPIを維持することは容易ではありません。効果的なAPI管理には、充実したドキュメント作成、強固なセキュリティ対策、パフォーマンス監視が欠かせません。APIが正常に機能しないと、各モジュール間の連携が途絶え、システム全体の障害につながるリスクがあります。
  • セキュリティ上の懸念:コンポーザブルアーキテクチャは、モノリシックな構造に比べてデータフローやエントリーポイントが複雑化します。そのため、各コンポーネントおよびコンポーネント間の通信を適切に保護することが、機密情報を守り、システム全体のセキュリティを維持する上で極めて重要です。
  • 開発チームの学習コスト: 新しい技術や方法論に対応することが、開発チームにとって大きな負担となることがあります。モノリシック構造からコンポーザブル構造への移行には、新たなツール、フレームワーク、ベストプラクティスの習得が必要です。そのため、十分なトレーニングや情報リソースの提供をすることで、チームは新しいアプローチを理解し、有効に活用できるようになります。
  • 組織変革管理の重要性:ココンポーザブルアーキテクチャの導入は、チームの働き方や協業のスタイルに大きな変化をもたらします。成功の鍵は、組織全体の意識とプロセスを新たなアーキテクチャに適合させることにあります。

Boomiが提供する支援

コンポーザブルアーキテクチャは、柔軟性とスケーラビリティに優れたソフトウェアの構築を可能にし、より迅速なイノベーションの実現を後押しします。これらのメリットを踏まえると、コンポーザブルアーキテクチャは貴社に置いてどのように役立つのでしょうか?

Boomiが提供するiPaaS(データ連携のプラットフォームサービス))は、エンタープライズ全体における統合管理をシンプルなWebコンソール上で実現できるよう設計されており、コンポーザブルアーキテクチャをサポートします。

Boomiのを活用するメリットは以下の通りです:

  • 柔軟性: 必要に応じてコンポーネント同士を容易に接続・再構成可能
  • スケーラビリティ: 急増するデータ量やユーザー数にも対応できる高い拡張性
  • 効率化: 開発時間や運用負荷を削減
  • 将来性: 新しい技術やビジネス要件への高い適応力
  • 組み込み済みのコネクター:様々なアプリケーションやサービスとの迅速な連携
  • AI搭載の統合ツール:統合プロセスの簡素化と高速化
  • エンタープライズおよびB2B/EDI統合対応: 複雑な業務プロセスを支援
  • リアルタイムの統合プロセス:高速かつ対応力の高いシステムを実現
  • APIの一元管理: APIの開発・ガバナンスを一元管理

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