コンポーザブルアーキテクチャとモノリシックアーキテクチャの違い

著者 Boomi
発行日 2024年10月23日

新しいテクノロジーを導入する際には、現在の事業目標に合致し、将来の成長にも対応できるアーキテクチャを選ぶことが重要です。選択を誤ると、コストの増加、柔軟性の低下、市場投入の遅れにつながるおそれがあります。

企業がよく比較検討する代表的な選択肢が、モノリシックアーキテクチャ(monolithic architecture:システム全体を一体型で構築・運用する設計方式)とコンポーザブルアーキテクチャ(composable architecture:機能ごとに分けた部品を組み合わせて柔軟に構築・拡張できる設計方式)です。どちらにも固有の強みがあり、適しているかどうかは企業の目的や状況によって異なります。

本記事では、モノリシックアーキテクチャとコンポーザブルアーキテクチャの違いを整理し、現在だけでなく将来の目標達成にも適したアプローチを見極めるためのポイントを解説します。

コンポーザブルアーキテクチャとは?

コンポーザブルアーキテクチャは、入れ替え可能で再利用しやすいソフトウェアコンポーネントを組み合わせて構成する設計方式です。企業は変化するニーズにすばやく対応しながら、効率的に拡張できるようになります。

コンポーザブルアーキテクチャの主な5つのメリット

コンポーザブルアーキテクチャは、複雑で変化の激しい事業環境に対応するうえで大きな利点があります。モジュール単位で構成された設計により、継続的な改善や新たな取り組みに必要な柔軟性と俊敏性を確保しながら、業務を効率的に拡張できます。

コンポーザブルアーキテクチャには、主に次のようなメリットがあります。

  1. 俊敏性の向上:コンポーザブルなアプローチにより、変化する企業ニーズに迅速に対応できます。独立したコンポーネントごとに開発・デプロイを進められるため、新機能や改善もすばやく実装できます。
  2. 拡張性:需要の変動に応じて必要なモジュールだけを個別に拡張できます。これにより、リソースを効率的に活用しながら、アーキテクチャ上の制約に左右されることなく拡張に対応できます。この設計は、インフラ全体における各コンポーネントの配置も最適化し、全体的なパフォーマンス向上にもつながります。
  3. 最適な技術を選びやすい:コンポーザブルアーキテクチャでは、用途ごとに最適な技術を組み合わせて活用できます。老朽化したモジュールや要件に合わなくなったモジュールも、システム全体に大きな影響を与えずに置き換えられるため、既存システムの維持にかかる負担を抑えながら、コア業務に集中しやすくなります。
  4. レジリエンスの向上:サービスを独立したモジュールに分けておくことで、障害の影響を最小限に抑えられます。あるコンポーネントに問題が発生しても、ほかの機能は通常どおり稼働を続けられます。
  5. イノベーションの加速:このアプローチでは、新しい手法や技術も取り入れやすくなります。独立した環境で検証・実験しやすく、成果が出たものだけをアーキテクチャ全体に無理なく組み込めるため、顧客体験の向上にもつながります。

コンポーザブルアーキテクチャの課題

コンポーザブルアーキテクチャには多くのメリットがある一方で、導入に当たっては企業が考慮すべき課題もあります。効果的に活用するには、初期段階から適切な計画と必要なリソースを確保することが欠かせません。想定しておくべき主な課題は次のとおりです。

  1. 複雑性の増大: 複数の独立したモジュールを管理し、連携させるには、高度なツールや運用プロセスが必要です。各コンポーネントを円滑に連携させるには、従来のモノリシックシステムより複雑な対応が求められます。
  2. 運用負荷の増大:分散型のアーキテクチャでは、複数のモジュール全体を管理する必要があるため、システム運用にかかる負担やコストが大きくなりやすくなります。効率的に運用するには、監視、保守、セキュリティ対策を横断的に整えることが重要です。
  3. 依存関係の管理:各コンポーネントが個別に更新されるため、相互の互換性を維持することが重要になります。モジュール間の接続を適切に保つには、継続的で丁寧な管理が欠かせません。
  4. セキュリティ上の懸念: モジュール間の接続ポイントが増えることで、企業にとってのセキュリティリスクも高まります。顧客データや企業データをシステム全体で守るには、システム全体を見据えた一貫した対策を連携して講じることが不可欠です。
  5. 学習コストの増加: コンポーザブルなシステムの導入と運用には、分散アーキテクチャに関する専門スキルを持つ人材が求められます。この新しいアプローチをチームに定着させるには、教育やスキル習得にも相応のリソースが必要です。

モノリシックアーキテクチャとは?

モノリシックアーキテクチャは、すべてのソフトウェアコンポーネントが単一のシステムとして統合された従来型の設計方式です。比較的シンプルなアプリケーションでは、構築や導入がしやすいという特長があります。

モノリシックアーキテクチャの5つの主なメリット

モノリシックアーキテクチャには明確な利点があり、特にシンプルな開発要件では多くの企業に適しています。構成が一体化されているため、主に次のようなメリットがあります。

  1. 開発のシンプル化:単一のコードベース(1つのコードで全体を管理する構成)で構成されるため、開発プロセスを効率化しやすく、システム全体を一体的に扱いながら保守・運用しやすくなります。
  2. テストの効率化:アプリケーション全体を一つのまとまりとしてテストできるため、外部依存を抑えながら品質確認を進めやすくなります。
  3. デプロイの効率化:アップデートは単一のパッケージとしてリリースできるため、複数の分散コンポーネントを管理する場合に比べて、運用の複雑さを抑えられます。
  4. 初期コストの低さ:単一アプリケーションとして構築・導入できるため、初期投資を比較的抑えやすく、規模の小さいプロジェクトや予算に制約がある場合にも適しています。
  5. 一元管理のしやすさ:統一されたアーキテクチャにより、アプリケーションとデータをまとめて管理でき、全体を連動したシステムとして把握して、運用・保守しやすくなります。

モノリシックアーキテクチャの課題

このアプローチは多くの企業で有効に機能してきましたが、注意すべき弱点もあります。適切な対策を講じるには、こうした課題をあらかじめ理解しておくことが重要です。導入にあたって考慮すべき主な点は次のとおりです。

  1. 拡張性の制約: モノリシックアーキテクチャでは、システムの一部分だけを独立して拡張することが難しく、対応のたびにコードベース全体へ手を入れる必要が生じやすくなります。そのため、長期的にはリソースの最適化を進めにくくなります。
  2. 柔軟性の低さ:モノリシック構造では、新しい技術や変化する企業ニーズへの対応が難しくなりがちです。モダンでモジュール型のシステムを組み込みにくく、結果として改善や新しい取り組みを進めにくくなるおそれがあります。
  3. 開発サイクルの長期化:各機能が密接に依存しているため、一部がシステム全体に影響します。こうした相互依存により、開発やデプロイに時間がかかり、改善や修正を迅速に試して反映することが難しくなります。
  4. 障害の影響が全体に及びやすい: 一部の不具合が、アプリケーション全体に影響を及ぼす可能性があります。分散型アーキテクチャと比べると、サービス停止のリスクが高まりやすいです。
  5. 保守の複雑化:大規模で相互に密接につながったコードベースは、時間が経つほど改修や保守が難しくなります。ソフトウェアの進化に合わせて継続的に最適化していくには、より多くの工数が必要となり、運用負荷の増大につながります。

モノリシックアーキテクチャとコンポーザブルアーキテクチャの比較

モノリシック型とコンポーザブル型のどちらを選ぶかによって、企業が変化にどれだけ柔軟かつ効率的に対応できるかは大きく変わります。ここでは、両者の重要な違いを見ていきます。

コンポーザブルアーキテクチャ モノリシックアーキテクチャ
柔軟性と俊敏性 モジュール単位で構成され、コンポーネントの追加や置き換えを最小限の影響で実施できます。そのため、企業は変化するニーズに迅速に対応できます。 モノリシックアーキテクチャは、すべてのコンポーネントが単一のシステム内で密接に統合されているため、変動要素が少なく、安定した予測しやすい環境を実現しやすい構造です。ただし、その分、柔軟性は低くなります。
コスト コンポーザブルアーキテクチャは、利用状況に応じてコストが変動する一方、各コンポーネントを個別に拡張できるため、長期的にはコスト最適化につながる可能性があります。ただし、初期の構築や連携にかかるコストは高くなる傾向があります。 モノリシックアーキテクチャは、統一された構造のため初期導入コストを抑えやすく、費用も比較的見通しやすい傾向があります。ただし、変更のたびにシステム全体へ手を入れる必要があるため、長期的には保守コストが高くなりやすくなります。
保守とアップグレード システム全体に影響を与えずに、個別にアップグレードしやすく、保守もしやすくなります。これにより、停止時間を抑えながら更新を進めやすくなります。 単一のコードベースで管理されているため、システム全体のアップグレードや保守を一体的に進めやすい構造です。ただし、変更がシステム全体に影響しやすく、結果として業務への影響範囲が大きくなる可能性があります。
性能と信頼性 特定のコンポーネントのみを拡張できるため、パフォーマンスの最適化が可能です。また、障害の影響範囲を限定できることで、システム全体の耐障害性向上にもつながります。 統一されたシステム構成により、安定した性能を維持しやすく、トラブルシューティングもシンプルに行えます。ただし、一つのコンポーネントの不具合がアプリケーション全体に影響する可能性があります。
セキュリティとコンプライアンス 各コンポーネントごとにきめ細かなセキュリティ対策を講じやすく、問題が起きても独立したモジュール内に影響をとどめやすくなります。そのため、より的確なセキュリティ対策を実現できます。 システム全体で一貫したセキュリティやコンプライアンス管理をしやすい構造です。ただし、一部で侵害が発生すると、アプリケーション全体に影響が及ぶ可能性があります。

モノリシックアーキテクチャは、安定性、保守のしやすさ、初期コストの低さを重視する場合に適しています。要件が大きく変わりにくいアプリケーションでは、密接に統合された構造によって開発を進めやすいという利点があります。一方で、長期的にはリソース最適化や新しい変化への対応に限界が出やすくなります。これに対し、コンポーザブルアーキテクチャは、柔軟性、モジュール単位での拡張性、サービスを迅速に変化へ対応させる力が求められる場合に適しています。

連携とアーキテクチャ基盤にBoomiを選ぶ理由

モノリシックアーキテクチャとコンポーザブルアーキテクチャには、それぞれ異なる強みと課題があります。モノリシックアーキテクチャは要件が安定している環境に適していますが、柔軟性には限界があります。一方、コンポーザブルアーキテクチャは、独立したモジュールによって俊敏性と拡張性を実現できます。

BoomiのiPaaS ( integration platform as a service:クラウド上でアプリケーションやデータを連携できる基盤)は、コンポーザブルアーキテクチャを採用する企業や、モノリシックなシステムから移行を進める企業にとって、有力な選択肢です。主なメリットは次のとおりです。

  • モジュール型の連携基盤: Boomi Enterprise Platformは、現代的なアーキテクチャの考え方に沿って設計されており、再利用可能なコンポーネントと自動化を活用して、アプリケーション、データ、デバイスを連携 できます。
  • 柔軟なデプロイ環境:Boomiでは、連携や自動化をクラウドにもオンプレミスにも展開できるため、要件の変化に応じて柔軟に対応できます。
  • ローコード開発使いやすいドラッグ&ドロップ型のインターフェースにより、技術部門だけでなく非技術部門の担当者も連携構築や業務プロセスの自動化を進めやすくなり、モジュール型構成への移行を後押しします。
  • 包括的なAPI管理:Boomiは充実したAPI管理機能を備えており、APIの設計、公開、保護、拡張を一元的に管理できます。これにより、モジュール型の企業アーキテクチャを支える強固な基盤を構築できます。
  • ワークフローの自動化:複数のアプリケーションにまたがるワークフローを自動化し、モジュール間の連携を効率的に制御できます。
  • 統合データ管理:Boomiは、アプリケーションとデータの連携、マスターデータ管理、データカタログ、データ準備を単一のプラットフォームで行えます。これにより、適切に管理された信頼性の高いデータに基づいた意思決定を支援します。
  • 拡張性と柔軟性:Boomiはマルチテナントクラウドアーキテクチャ(multi-tenant cloud architecture:複数の利用企業が共通基盤を安全に利用できるクラウド構成)上に構築されており、拡張しやすいインフラと柔軟な展開を実現します。モジュール型アーキテクチャへ移行する過程で、ハイブリッド環境にも対応できます。

Boomiを活用することで、連携基盤として必要な機能と柔軟性を備え、変化する企業ニーズに合わせたアーキテクチャの変革を支援します。

より柔軟に組み合わせられるアーキテクチャの実現をBoomiがどのように支援するのか、ぜひ「より柔軟なアーキテクチャを構築する方法」を紹介した動画でご確認ください。

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