APIが連携の標準となったように、AIエージェントは知的なタスク連携によってワークフロー自動化を進化させています。すでにAIエージェントは、企業全体で意思決定の高度化や業務効率化に貢献していますが、その導入が加速する一方で、大規模運用に伴う管理の複雑化という新たな課題も生まれています。
多くの組織では、オブザーバビリティやライフサイクル管理に苦労しており、エージェントのパフォーマンスを継続的に監視したり、バージョンを適切に管理したりすることが難しい状況です。さらにAIエージェントが機密データを扱うようになるにつれて、ガバナンスやセキュリティ面での懸念も増しており、厳格なコンプライアンスやアクセス制御が不可欠になっています。そして何より懸念されるのは、適切な管理が行われない場合に発生するエージェントの散在です。これは、AIエージェントが無秩序に増え、結果として非効率化やセキュリティリスクの増大を招く可能性があリます。
BoomiとAmazon Web Services(AWS)は、AIエージェントの複雑な管理課題に対応するために協業し、Agent Control Towerを開発しました。このソリューションはBoomiが開発し、Amazon Bedrockと密に連携されたAIエージェント管理プラットフォームです。Agent Control Towerは Boomi Agentstudioの一部として提供され、AIエージェント運用の変革を支えるガバナンスフレームワークを提供します。これにより、現在および将来的なコンプライアンス要件に対応可能な基盤を実現しています。
Boomiは全世界で25,000社以上の顧客にサービスを提供しており、そのうち約75%がAWS上で稼働しています。その顧客には、Fortune 500企業やGlobal 2000企業を含む、医療、金融、テクノロジー、製造といった主要産業が含まれます。さらにBoomiは生成AI分野で革新を続けており、2,000社以上の顧客がBoomiのAIエージェントを活用しています。
Boomiが提供するAI、連携、自動化、API管理、データ管理といった幅広い機能と、AWSの信頼性・セキュリティ・AI分野での実績が融合することで、大規模で標準化されたAIエージェントガバナンスを実現する強力な基盤を実現しました。本記事では、BoomiとAWSがどのように協力し、企業のAI導入の迅速かつ安全なスケールアップをAgent Control Towerを通じてどのように支援しているかを紹介します。
統合型AI管理ソリューション
AWS上に構築されたAgent Control Towerは、複数のシステム(他のクラウドプロバイダーやオンプレミス環境を含む)にまたがるAIエージェントを一元的に管理できるコントロールプレーンを提供します。その中核となるのは、包括的なオブザーバビリティとモニタリング機能です。リアルタイムでのパフォーマンス追跡に加え、AIエージェントの意思決定や行動の可視化を深く行うことで、より透明性の高い運用を可能にします。
以下のスクリーンショットでは、ユーザーが複数のエージェントプロバイダーのサマリーデータを確認し、新しいプロバイダーを追加・管理する画面になります。
次のスクリーンショットは、モニタリングとコンプライアンスのダッシュボードの例です。
Agent Control Towerは、各エージェントが使用しているツールやを一元的に可視化できる統合ビュー(シングルペイン・オブ・グラス)も提供しており、その様子を以下のスクリーンショットで確認できます。

Agent Control Towerは、ポリシーの一元管理やロールベースのアクセス制御といった主要なガバナンスおよびセキュリティ機能を備えており、GDPRや HIPAAなどの規制フレームワークへの準拠を支援します。さらに、ライフサイクル管理機能により、エージェントの自動検出・バージョン管理・停止や再開といった運用制御を実現します。
Agent Control Towerは、ガバナンスとオーケストレーションを統合したAIエージェントのフルライフサイクル管理を可能にする、初のまたは世界でも数少ない連携ソリューションとして位置づけられています。現在、多くのベンダーがAIエージェントの開発やリリースに注力している一方で、大規模な管理・展開・ガバナンスに焦点を当てたソリューションはごくわずかです。
以下のスクリーンショットは、ユーザーがエージェントの詳細を確認し、無効化または有効化を行う画面の例を示しています。
以下のスクリーンショットに示すように、ユーザーはエージェントの各コンポーネントの詳細をドリルダウンして確認することができます。
Amazon Bedrock:AIガバナンスを支える基盤
Amazon Bedrockを活用することで、最適なパフォーマンスと精度を実現するために、セキュリティガードレールやコンテンツモデレーションを実装しながら、複数のAIモデルを柔軟に選択・切り替えできます。さらに、厳選されたナレッジベースや事前定義されたアクショングループへのアクセスを構築・有効化することで、高度なマルチエージェント連携も可能になります。Amazon Bedrockは、エージェントの包括的なメトリクスやトレースログを提供し、透明性と説明責任を確保します。BoomiのAgent Control Towerは、Amazon Bedrockとの深い連携により、エージェントの可視性とガバナンスをさらに強化。あらゆる環境におけるエージェントの設定や活動を一元的かつ実行可能な形で提供します。
以下の図は、AWS上でのAgent Control Towerのアーキテクチャを示しています。
ビジネスインパクト:エンタープライズAI運用の変革
たとえば、グローバルに展開する製造業がサプライチェーン最適化のためにAIエージェントを活用しているケースを考えてみましょう。Agent Control Towerを導入することで、各地域のエージェントのパフォーマンスをリアルタイムで監視し、一貫したセキュリティポリシーの適用や法規制への準拠を実現できます。問題が発生した場合も、迅速に原因を特定し対応することが可能で、AI運用をスケーラブルかつ安心して拡張できるようになります。このような高度な可視性と統制を備えることで、企業はAIエージェントをより効果的に展開しながら、強固なセキュリティとコンプライアンス基準を維持することができます。
おわりに
Boomiの顧客企業では、すでに5万体以上のAIエージェントを導入し、ドキュメント作成時間を最大80%削減、問題解決を50%高速化する成果を上げています。BoomiとAWSを組み合わせることで、企業は可視性・ガバナンス・セキュリティを重視した基盤のもと、AI導入をより迅速かつ安心して拡大することができます。
Agent Control Towerは、AIエージェントの散在を防ぎ、スケーラブルでコンプライアンスに準拠した変革を実現します。詳しくは、製品ツアー、BBoomi Agent Control Tower、 Amazon Bedrock連携ページでご確認ください。または、AI FastTrackを今すぐ始めることもできます。
BoomiとAmazon Web Servicesの連携について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひBoomiの、AWSパートナーページをご覧ください。
なお、本記事は、Amazon Web Services(AWS)公式のMachine Learningブログに掲載された記事を基にしています。




